注目のニュース&分析記事(11月)NFT/トークンの取扱の導入・拡大に向け、日米の金融メインストリームの動きが活発に
伝えたいこと
NFT関連のニュースまとめ
大手銀行もNFT活用に舵
セブン銀行、みずほ銀行、住信SBIネット銀行がNFT推進に大きく舵をきっています。NFTスタートアップへの出資、行内での海外資金移動のトークンへの置き換え、デジタル証券のブロックチェーン上での発行・仲介というかたちで、国内金融システムへのブロックチェーン、NFTの導入がこれから本格化しそうです。
NFTのスシトップマーケティング、セブン銀行と資本提携。出資額は5,000万円。全国に約2万7000台あるセブン銀行のATMで発行する明細票にQRコードを印字し、NFTを配布できるようにするなど連携を進める。企業の販促やキャンペーンなどでの利用を促すほか、NFTを受け取れるATMの地域を限定して地方創生につなげることも想定する。
みずほ銀行は行内の国境をまたぐ資金の移動をブロックチェーン上の「トークン」に置き換えるシステムの開発に乗り出し。現在の送金費用を9割以上引き下げる潜在性があるとみて開発をすすめる。
住信SBIネット銀行、デジタル証券はブロックチェーン(分散型台帳)上での発行と仲介を開始。三井物産子会社の三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM)が手掛ける投資商品を、銀行アプリで顧客に紹介。
株や債券、投資信託などの価格に連動するトークン(電子証票)が拡大、米ブラックロックなど運用大手が新たな投資資産に成長する可能性を探ろうと、相次いで参入。
米VISA、トークン金融商品「試験場」設け銀行に協力。伝統的な銀行でもブロックチェーンでトークン化した金融商品を発行できるようにするためのサービスを開始へ。
まちづくり・ゲーム・健康という切り口に注目
商業開発、まちづくり、体験型ゲーム、eスポーツ、スタンプラリー、イベントDX、健康推進というキーワードの下、NFT/トークンの大衆化(ソーシャルアダプション)プロセスがの着実に進展しています。
博報堂キースリー、beyondClubと共同で東急の「SHIBUYA Q DAO」の体験型NFTゲーム「SHIBUYA CHECKIN POKER」の実装をサポート。渋谷の様々なスポットで位置情報に応じてチェックインをすると、トランプNFTを提供。
NFTを活用しリアルとデジタルを組み合わせた新たな体験を提供する東急「SHIBUYA Q DAO」でソーシャルファイナンスアプリ「Pucre」が始動。歩くことで、自然環境に自動的にファンディングされ、ポイントを受け取ることができる仕組み。
歩くほど走るほどトークンが稼げる新しい運動体験をヘルスケアアプリ「HEALTHREE」が大型アップデート。ゲーム、遊びの要素と誰もが無料で始められるシステムが特徴。
ニコチンフリースマートベイプを活用し、ベイピング(電子タバコ喫煙)行動をゲーム化するとともに、健康データをブロックチェーン上に保存するプロジェクト始動。暗号化チップを活用し、利用状況の追跡、NFT特典提供など。
ブロックチェーン技術でイベントDXを促すソリューション「みんなのあしあと」が、朝日放送が主催する「おはよう朝日です」45周年感謝イベント「おは朝パーク2024」において採用。ゲームの参加証明NFTを配布・実装。
GINKAN、決済データを活用した新時代のWeb3ライフスタイルアプリを公開。ユーザーがリアル店舗での消費データを使ってトークンを獲得し、「MANEKINEKO NFT」を育成していくゲーム感覚の次世代アプリ。
Pocket RD社、スタンプラリーを手軽にブロックチェーン化し、NFTを活用したサービス、マーケティング等を簡単に取り組めるパッケージをリリース。アバター技術を活用し、現実とフィクションの境界を超える、かつてない体験を提供。
「香り」のデジタル配信などの新市場展開の契機に
NFTの利用拡大につながる市場環境整備(SBINFTによるNFT販売サービス、JPYCによるカーボンクレジット市場)、使いやすいウォレット開発、新サービス(「香り」のデジタル配信)、NFTを活用したLINE上での電子書類取引サービス等、新市場をにらんだ動きも活発です。
SBINFT、ゲーム用NFTやチケットNFT、会員券など、NFTの発行・販売を行う事業者向けに、NFT販売に特化したサービス「SBINFT LAUNCHPAD」の提供を開始。利用者同士がNFTを売買できる「SBINFT Market」を併用することで、NFTの発行・販売から二次流通までの一貫した流通環境を確保することが可能に。
日本円ステーブルコインのJPYC、ブロックチェーン基盤でカーボンクレジット市場の透明性と効率化を目指す「KlimaDAO JAPAN MARKET」実証実験に参加。
Bacoor dApps、スマートフォンにかざすだけで利用できる手数料ゼロのハードウェアウォレット「DeCARD」、生体認証(顔認証・指紋認証など)対応のウェブウォレット「KEYRING SMART」を正式にリリース。
香りのデジタル配信プラットフォーム「Scent Store」の日本展開を目的として運営されるトークンコミュニティ「Scent Japan DAO」が始動。
キリフダ、NFTを活用したLINE上での電子書類取り交わし(電子取引)機能をリリース。公式 LINE の友だちとの間で電子取引も可能となり、書類授受や手続きの省力化を実現。
一般消費者を巻きこんんだ様々な実証事業
ファン体験の価値向上(丸井グループ)、ライブチケットを活用した新サービス、スポーツ番組と連携した地域ファンコミュニティづくり等、一般消費者を巻きこむかたちでWeb3型マーケットの実証事業が様々に行われています。
丸井グループ、ブロックチェーンを活用した小売・フィンテック分野での共創を目指し株式会社1SECと資本業務提携。リアルとデジタルを融合したファン体験の創出をめざす。
ライブチケットをファンエンゲージメントへのきっかけに進化させる日本初のサービス「KLEW」がリリース。チケットが入場するためだけの存在から、アーティストとファン、そしてファン同士のコミュニケーションのきっかけとなるツールへと進化。バッジとトークンでロイヤリティを証明。
放送局のスポーツ番組と連携し、スポーツチームを盛り上げ、地域密着型のファンコミュニティ活動を行う取り組みに、ブロックチェーン技術で簡易にCRM基盤を構築するツールが採用。SUSHI TOP MARKETINGと電通が共同で開発・提供。
現実資産(RWA)トークン化、全国各地で120件
地域電力の取引拡大、地域防災意識の拡大、有力メディアとデジタル住民ムーブメントの連携等、現実資産(RWA)トークン化が全国ですすみ、120プロジェクトを数えるまでになっています。
世田谷区、余った太陽光を地域で売買、電力の地産地消めざす。売買取引の履歴管理を、コンピューター上で参加者が誰でも見られる状態にするブロックチェーン(分散型台帳)技術を採用。
災害対策の課題を解決するWeb3プロジェクト「Perfect災害支援DAO」を進めている渋谷Web3大学、2024年11月29日に開催されるフクオカ・ブロックチェーン・アライアンス2024に参加。クイズ形式で防災意識を高めるアプリのデモ実施。
クリプトヴィレッジ(NishikigoiNFT)と「ソトコト」オンラインのメディア連携、スタート。
ICHIZEN HOLDINGS、現実資産をトークン化「RWAカオスマップ」を公開。19のカテゴリーで120プロジェクトを掲載。
本物・体験・活動の「証明書」として利用拡大
ふるさと納税をからめたウイスキーNFT、市民マラソンの証明書、大阪万博における地域体験証明書など、本物、体験、活動の「証明書」として利用され、地域活性化における先端情報技術の役割がユースケースとして蓄積されています。
北海道余市町へのふるさと納税の返礼品として、90年ぶりに誕生した新蒸留所「リタファーム&ワイナリー」の限定ウイスキーと交換可能なNFTの提供をスタート。
SUSHI TOP MARKETING、「ちばアクアラインマラソン2024」でオフィシャルスポンサー千葉銀行と、ランナー用・応援者用・アンケート回答用の3種類の証明書(NFT)の配布施策を実施。
日本政府観光局(JNTO)、万博テーマ×観光体験を水墨画のNFTアートで世界へ発信開始。博覧会協会が提供するアプリサービス「EXPO2025デジタルウォレット」において、10地域、20種類の現代水墨画アートをNFTとして配布。疑似体験旅行の「参加証明」として活用。
まとめ
トークン経済を支える幹(インフラ)が金融メインストリームによって整備され、多様なアプリケーション(利用)が枝を広げるかたちで、トークン経済の全体像が徐々にすがたを表しつつあります。
東京大学工学研究科都市工学専攻を修了の後、公益財団法人九州経済調査協会や九州大学において長年、地域調査や産業政策・地域政策の立案に従事するとともに、数多くのまちづくりに参画している。
MikoSea Curator - Sakaguchi2024年11月のホットなニュースをわかりやすく解説します。