Web3 特別レポート①「第2幕」を迎えたNFT/トークン経済
★レポート概要
NFTPark.では2024年2月以降、NFT関連ニュースの収集分析を行っています。これまで収集したプレスリリース、記事は全部で300件あまり。これをもとに、6つの特徴もしくは角度から2024年のNFTビッグトレンドを分析。いずれも2024年を境目とした大きなトレンド変化です。
伝えたいこと
2024年はNFTにとって大きな転換の年
短期ブームで終わったデジタルアートNFT
Web3の牽引役として大きな期待を集めて登場したNFT。
この間のNFTの足取りをたどると、ビットコインのブロックチェーン上で発行された、NFTの最初の試みが行われたのが2012年。スマートコントラクト機能を搭載するEthernetが登場し、NFTの発行や取引がより容易になったのが2015年。そして2017年には CryptoPunksが登場。1万個のユニークなキャラクター画像のNFTが発行され、NFTアートの先駆けとなり、2021年にデジタルアートの取引が一気に活発化し、Beepleの作品が約75億円で落札されるなど、高額取引が話題となりました。
ところが、この数年でNFTの世界市場(多くは米国)は2020年0.5億ドル、2021年247億ドル、2022年268億ドルと急成長を続けるかに見えましたが、2023年には95億ドルと急減速、短期的で投機的なブームは収束したように見受けられます。
2024年、「第2幕」といえる展開スタート
ブーム収束後の動向をたどると、日本では2024年に入り、「第2幕」といえる展開が次々と現れ、トークン経済の新たな分野や成長可能性が膨らみ始めました。アメリカの動向もあわせて分析する必要がありますが、日本での「第2幕」の展開に今後、目を懲らし今後の展開を見すえていく必要があります。
プレイヤー、インパクト、商品展開のいずれも第1幕と大きく様相を変え、PoC(Proof of Concept:概念実証)という考え方のもとに商品精度を高め、社会で実装をすすめていく流れが定着しつつあります。
レポート目次
■NFT「第2幕」。社会普及本格化へ
- Sony、NTT等、大手企業による基盤技術開発と社会インフラの造成
- 大手企業とスタートアップとの提携
- リアルなもの·サービスに紐付いた多様なNFT商品の開発
- 市場開拓、社会定着の契機となるUI/UXの開発進展
- 官民の様々な産業分野における社会実証実験の広がり
- 「アプリマーケ3.0」「ノーコード革命」と連動のきざし
表1 ⼤⼿企業の動き
発表 | 企業 | 内容 |
---|---|---|
7.31 | Sony | Webb3 エンターテインメント向けアプリ「Sony BankCONNECT」計画リリース |
8.23 | Sony | Sony、ブロックチェーンSoneiumをリリース。誰でも⽇常的使えるWeb3基盤加速 |
9.2 | NTT Digital | NTT Digital、韓国のXangleと最先端Web3技術の社会実装に向け基本合意 |
9.25 | NTT Digital・GMOメディア | NTT Digital、GMOメディアの合意でデジタルウォレットNFTを容易に扱うことが可能に |
7.3 | KDDI | KDD、αu marketにおいてNFT販売機能を開放し、「クリエイターエコノミー」推進へ |
9.17 | TOPPAN | カード型セキュリティモジュール開発。ICカードを⽤いたスムーズな暗号資産認証が実現 |
6.7 | TOPPAN | TOPPAN、トークン を活⽤し「推し活」ビジネスの実現を⽬指す事業をgumiと開始 |
6.27 | 三井物産 | 三井物産、「推し活」を記録・可視化し、特典を貰えるサービス「オシトラ」を推進 |
6.27 | JR東日本 | 駅スタンプアプリ「エキタグ」東北エリアのJR線に拡⼤ |
■今後の変化見通し
- 「初期市場」から「アーリーマジョリティ市場」への移行
- 多様な事業デザインの社会提案と市場的淘汰の同時進行
- トークンと相性のいい分野とそうでない分野との仕分け
■まとめ ─ Web3社会の展望
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まとめ
「技術」「人間」「社会」という3つのモーメントが相互に影響し合いながら、これまで以上に動的なプロセスの展開が見込まれる。
東京大学工学研究科都市工学専攻を修了の後、公益財団法人九州経済調査協会や九州大学において長年、地域調査や産業政策・地域政策の立案に従事するとともに、数多くのまちづくりに参画している。