地方創成×NFT地域活性化の新潮流 NFT導入による地方創成の可能性と課題
伝えたいこと自律・分散・協同の社会を支える基盤技術として、NFTは地方創成や地域活性化において、大いなる可能性を秘めています。
社会のありようやビジネスに革新をもたらすことが期待されるNFTが地域社会にどのような影響を与え、いかなる可能性を開いていくか実践的に探っていくことが求められています。
NFTとは?その可能性は?
NFTの基盤技術であるブロックチェーンは、改ざんが困難な分散型の情報台帳であり、NFTの保有情報や事業者・メーカー、製法、産地等の情報を透明かつ安全に記録します。これにより、真正性をもつ証書や会員証としてNFTを活用し、従来の市場とは異なる取引(例えばNFTプラットフォームでの売買)が可能となったり、顧客信用を高めることで商品・サービスのブランド構築につなげていく可能性が、地方の中小企業にも開けていきます。
NFTビジネスは当初デジタルアート分野から始まりましたが、最近では工芸作品、酒類、不動産、ツーリズム、イベントなど、地方を拠点に展開される商品分野において利用拡大しています。
ブロックチェーン技術の特徴は分散・自律・協同という社会の大きな変化を呼び起こすことが期待されています。NFTが地方創成との親和性が高い理由はそこにあります。
地方創成におけるNFTの活用事例
山古志(新潟県):錦鯉をシンボルにした「Colored Carp」というNFTアートが発売されました。地域の電子住民票を兼ねたアート作品です。このプロジェクトでは、地域内でのプロジェクトや課題解決に必要な資金調達を支援することを目的に掲げています
\ネオ山古志村世話人DAO設立!!/
— 山古志住民会議【Nishikigoi NFT🇯🇵日本語アカ】 (@yamakoshiMTG) February 11, 2024
雪かき道場終了後、"世話人立ち上げ会"を山古志の現地&オンラインでのハイブリッド開催しました☃️
今日は奇しくも"建国記念日"!!
"私たちのクニづくり"いよいよ、はじまります☺
小さな山あいの村"山古志"がもつ文化や、地域の想いが未来へ繋がりますように!!#山古志 https://t.co/InGat3LWdr pic.twitter.com/Fr65tMgFYf
北海道:北海道きたひろ観光協会とのコラボレーションで、NFTを活用して観光振興を図るプロジェクトが進行中です。この取り組みでは、札幌市在住のNFTイラストレーターが描いた作品が抽選で販売されました。
兵庫県尼崎市:「ちっちゃいおっさん」という非公認ご当地キャラクターのNFTデジタルアートコレクションが販売され、地域経済圏の創出に向けた挑戦がなされました。
ゆるキャラ®グランプリ:ゆるキャラのデジタルカードNFTが発行され、NFTとブロックチェーン技術を活用したPR活動や地方向けトークン開発を通じて地方創生を目指しています。
『鉄腕アトム』NFTメタバースゲーム:このプロジェクトでは、日本各地の魅力を反映したNFTゲームカードが発売されています。
📣#NFTDuel リリース直前!最後のテストリーグ開催
— XANA|メタバース 🇯🇵公式 (@XANAMetaversejp) July 13, 2023
NFTDuelはあらゆるキャラクターを #Web3 ゲーム化することができる新しいコンセプトの #NFT ゲームです。
これまでにULTRAMAN、鉄腕アトム、#CryptoNinja… https://t.co/WXVaVMq24P
大阪府泉佐野市:ふるさと納税の返礼品としてNFTアートを提供しており、これにより地域の魅力を広める新しい試みが行われています。
泉佐野市すごい!!✨✨
— あのね┃未来着物NFT (@aNone_Craft) July 28, 2022
NFTをふるさと納税の返礼品に!
しかもAme-Chanさんのジェネレーティブ!✨✨🫢 https://t.co/TsGydoGaKZ
岡山市の西奉還町商店街:この地域では、商店街のメタバース化計画が進行中で、NFTアートコンテンツが提供されています。
STYLYで体験できるAR壁画が広島に出現!
— STYLY (@STYLY_XR) February 18, 2024
全国の自治体でSTYLYを使ったプロジェクトがどんどん広がっています✨
アプリインストールはこちらから👉https://t.co/PmwlvWbdkV https://t.co/UtcHTGPPS2
夕張メロン「デジタルアンバサダー」プログラム:このプログラムでは、夕張メロンに関するNFTが発行され、夕張メロンのファンの輪を世界中に広げることを目的としています。
高野山での謎解きイベント:このイベントでは、文化財をめぐる体験型プログラムに「NFT文化財カード」が提供されています。
技術と社会の調和:NFT導入の課題と解決策
NFTの導入には、技術的なハードルや知識の不足、市場の不確実性など多くの課題が存在します。これらを解決するためには、適切な教育と支援体制の整備が重要です。
また、地域コミュニティ内での理解促進や、持続可能な市場構築のための戦略的アプローチが必要です。地方自治体や地域住民がNFT技術の基本を理解し、その利点とリスクを適切に把握することが重要です。
地域特有の資源をNFTとして活用する際には、地域住民の意見や文化的背景を尊重し、共感を得るための取り組みが不可欠です。
地域社会における教育プログラムの提供や啓蒙活動を通じて、NFT技術の理解を深めることが重要です。これにより、地域住民がNFTの利用に積極的に参加し、そのメリットを享受できるようになります。
法的枠組みの整備は、NFT取引の透明性と安全性を保証し、地域社会における信頼を築くために不可欠です。
未来への道筋:NFTによる地方創成の可能性
NFT技術は、地域社会の持続可能な発展に寄与する可能性を秘めています。これを実現するためには、技術の進化と共に地域コミュニティのニーズを理解し、それに応じた応用方法を模索することが重要です。
長期的な視点を持ち、地域の文化や価値を尊重しつつ、新しい技術を取り入れることで、地域の活性化と持続可能な発展を実現できるでしょう。
地域コミュニティとの協力により、NFTを利用した新たなプロジェクトやイベントの開発が可能です。これにより、地域住民が主体的に地域発展に参加することができます。
まとめ自律·分散·協同を軸とした地方創成へ
地域活性化、地域経済の現場においてNFTの活用が広がることで、これまでの中央に依存した地方創成から分散·自律·協同を軸とした地方創成へと新たな展開が、社会·経済·行政の幅広い領域で期待される。
東京大学工学研究科都市工学専攻を修了の後、公益財団法人九州経済調査協会や九州大学において長年、地域調査や産業政策・地域政策の立案に従事するとともに、数多くのまちづくりに参画している。