注目のニュース&分析記事(12月)インフラ部門での活用、「地域へ/地域から」、次世代人材への注目、エコシステム形成、大手企業での取り組みなど社会実装がステップ·バイ·ステップで進んでいます。
伝えたいこと
NFT関連のニュースまとめ
注目ニュース3選
- Web3市場全体についての年間レポート公開(キリフダ株式会社)「NFTは一時的な熱狂が落ち着き、より成熟したプロジェクトや実用性のあるソリューションに焦点が移っている」
- 「香り」データをデジタル化しブロックチェーンで管理·販売するビジネスモデル登場
- NOT A HOTEL:コミュニティ貢献度に応じた報酬モデルの実証実験を開始
キリフダ株式会社、2024年のWeb3市場を網羅した年間レポートを公開。「インフラ分野への投資が大幅に増加した」「AIとブロックチェーンを組み合わせた新しいプロジェクトが注目」「RWA(実世界の資産)をトークン化する取り組みが拡大」といった分析を行い、「一時的な熱狂が落ち着き、より成熟したプロジェクトや実用性のあるソリューションに焦点が移っている」と概況をまとめ、「2024年は、暗号資産市場にとって歴史的な転換点となる一年だった」と総括した。
香料業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す「Scent Japan DAO」が初回トークン発行・販売を開始。香りのデータをデジタル化しブロックチェーン技術を用いて管理・販売することで、新しいビジネスモデルを提供へ。
NOT A HOTEL DAO、自発的な同世代コミュニティを目指す自己資本ベンチャーキャピタル「90s」と連携。コミュニティ貢献度に応じた報酬モデルの実証実験を開始。物件のオーナーとして所有する泊数を活用して、コミュニティ貢献度に応じた宿泊権NFTの付与とその有効性を検証し、コミュニティ全体の成長を目指す。
ブロックチェーンで地域をつなぐ
地域活性化のツール、地域文化資産のマネタイズ、電柱·マンホールなどを対象とした社会貢献ゲーム、水力発電事業のファンづくり、日常防災意識喚起など、ブロックチェーンを「地域へ」、社会実装を 「地域から」という試行がいろんな領域やテーマで重ねられています。
JR山手線大塚駅周辺エリアの更なる活性化に向け、企業/店舗がNFTを活用したキャンペーンやPoCをスピーディーに開始できるSaaSソリューション「Marbullコネクト」を活用。まちの店舗で使える特典付きNFTでまちに熱量の高いコアを創出し「まちの体温をあげていく」取り組みスタート。
ZoomARTプロジェクト、寺社が収蔵する文化資産を未来に残すため、文化資産×RWAによる寺社向け文化資産保護コンサルティングを開始。京都 両足院が参加決定。アート連動型RWAトークン、寺社単独の管理から「みんなで守る文化財」へと考え方へ。アート連動型トークン、30億円突破。
チームに分かれて、電柱やマンホールなど身近にある電力アセットの撮影を行い、撮影した電力アセットの量や距離を競う「チームバトルゲーム」参加型社会貢献ゲーム「PicTrée(ピクトレ)」、秋田県全域での電信柱撮影イベントを実施。撮影報酬は電信柱1本200円相当、Amazonギフト券やDEAPcoin(DEP)などで提供。
ゲーミフィケーションを活用したインフラ企業が抱える課題解決を進める参加型社会貢献コンテンツ「ピクトレ〜ぼくとわたしの電柱合戦」の第三弾実証試験を沼津市全域で実施へ。東京電力パワーグリッドなど3社の協働。
SBINFTの「SBINFT Mits」、関西電力の水力発電事業におけるブランディング向上施策で採用。プログラミング不要で簡単にキャンペーンページを作成し、ユーザーが作ったコンテンツや口コミをXで拡散可能に。NFT配布機能・もぎり機能を併用することで、イベント参加ユーザーに配布したNFTを、割引券や会員権のように使用することも可能。
渋谷Web3大学とBLOCKSMITH、フクオカ・ブロックチェーン・アライアンス2024で防災ソリューション『QAQA-BO(カカボ)』を発表。クイズを通じ「日常防災習慣」形成をめざす。
次世代人材を支えるNFTとメタバース活用の最前線
中学生、高校生、大学生(アーティスト)など次世代人材の学習支援、活動証明、アート制作支援というかたちで、NFT、メタバース等の高度情報技術活用が進められています。
J&J事業創造、メタバースの社会実装に向けた取り組みの一環として、探究学習・キャリア学習のためのメタバース空間を構築支援。中学校・高校と企業をメタバースで繋ぎ、未来社会を切り開く若者育成を目指す取組み。
ポカリスエット×朝日新聞「ポカリ高校生カメラマン2024」において選出された高校生を対象に活動証明NFTを発行へ。SUSHI TOP MARKETINGのNFT配布技術を活用。
秋田市、ふるさと納税返礼品として「秋田公立美術大学NFTコレクション」を提供開始。aUがNFTの制作および自社サービス『αU wallet』を提供。次世代アーティストを支援し、地域共創を促進へ。
エコシステム拡大と国際連携
ブロックチェーンの社会実装に向けた取り組みが、ウォレット経済圏(エコシステム)の裾野拡大、国際化(韓国企業との連携)、Ethereum完全互換のレイヤー拡張などのかたちで進んでいます。
Japan Open Chain、IEO先行優先販売の予定口数(100口、総額5億円)を達成。バリデータ(ブロックチェーン運営パートナー)は現在、ソニーのグループ内スタートアップであるコーギア、電通、NTTコミュニケーションズ、G.U.Technologies、insprout、Kudasai、みんなの銀行、ピクシブ株式会社、TIS株式会社、テレビ朝日グループのextra mile、京都芸術大学、はてな、シーエーシー、サイバーリンクスの14社が参画。
Japan Open Chain、韓国の代表的なブロックチェーンウォレット企業であるIoTrustをDevelopment Partnerに採択。JOC対応による日韓ブロックチェーンエコシステムの拡大へ。
SBINFT、Ethereumメインネットにおける処理速度の低下や、高騰するガス代を解決する目的で設計された、Ethereum完全互換のレイヤー1のブロックチェーンJapan Open Chainのバリデータに参画。「SBINFT Market」などサービスのJOC対応へ。
大手企業が進めるNFT活用の試行
日産自動車、ソニー銀行、KINTOテクノロジーズ(トヨタグループ)など大手企業でのNFT活用が顧客への新サービス、体験価値の提案、社内でのコミュニケーション推進など、実証実験的な要素を含め試行が重ねられています。
日産自動車、ブロックチェーン技術を活用した新サービス 「NISSAN PASSPORT BETA」を開始。さまざまなサービスへのアクセスを可能にする「デジタル証明書」として限定5,523枚のメンバーシップNFTを発行。今後、メンバーシップNFT*2と独自web3ウォレットの提供、コミュニティの開設、体験型リワードプログラムを展開予定。
ソニー銀行、口座保有者限定 「Sony Bank CONNECT™ × ”AIBO”(アイボ)初代モデル ERS-110(*1)」デジタルコンテンツ配布キャンペーンを2実施。SNFT株式会社が運営するサービス「SNFT」と接続することで、SNFTで保有しているNFTを表示し、楽しめる機能を提供。
SUSHI TOP MARKETING、KINTOテクノロジーズ株式会社の社内イベントにNFT発行サービスを提供。社内懇親会では各部署、経営陣、コンプリート用等複数の種類のNFTが発行され、NFTで社内のコミュケーションを促進。懇親会参加者が自身の持つNFTとは異なるNFTを収集し、普段話す機会が少ない他部署メンバーや経営陣とコミュニケーションを取ることで、新しいプロジェクトのスタートや関係構築を促進を目指す取り組みを実施。
NFTとトークンで進化する消費体験
菓子(カルビー)、グルメサイト、エンターテインメント、ポイントサービス(Ponta)、クレジットカード等、消費生活に密着した領域において、NFT/ブロックチェーンを活用した顧客コミュニケーションの深化、透明性·信頼性の強化、エンタメ体験の提供、会員基盤の強化、新たな体験価値の提案などが進められています。そこでは「ブロックチェーン」という技術説明はしだいに後退し、「トークン」という日常的な用語を用い、親近感を高める工夫がみられます。
カルビー、アプリでお客様とのコミュニケーションを進化・深化させる「カルビー ルビープログラム」を活用し、JR東日本の新サービス「JRE WALLET」と連携。第一弾として、デジタル投票券(NFT)を使っ「推し路線」総選挙を実施へ。
ブロックチェーン技術と、グルメサイトにおけるサービスイノベーションの専門知識を融合することで、レビューや評価データを改ざん不可能な形で記録し、透明性と信頼性を高める業務契約がアーリーワークスとグルメサイト「Yummeet!(ヤミート)」の間で提携。意図的な操作や不正確な投稿をなくし、グルメサイトにおける「ユーザーファースト」の新たな基準を確立をめざす。
SBI VCトレード株式会社・アソビシステム株式会社・ソーシャルマーケティング株式会社、Web3領域での協業に関する基本合意書を締結。SBI Web3ウォレットを活用することで、Web3技術を通じた新しいエンターテインメント体験を提供へ。
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する株式会社ロイヤリティ マーケティング(LM)、1億人超のPonta会員基盤と連携する独自ブロックチェーン「MUGEN Chain(ムゲンチェーン)」を新たに構築。LMはMUGEN Portalを利用するユーザーのオンライン・オフラインの行動を対象に、NFTを発行へ。
フィナンシェ、携帯やクレジットカードの支払いといった日常的に利用するサービスを切り替えることで、トークンを簡単に獲得できる新サービス『トークンプラス』をスタート。手軽さによって、これまでトークンに触れてこなかったユーザーにも、トークンを体験して頂くきっかけになることを目指す。
まとめ
2024年を通じて、NFT/トークンを活用した新しい付加価値の“流れ”を、エンドユーザーに向け“いい感じ” で生み出していく体験知が、多様な担い手の協働として重ねられています。「トークン·エコシステム」の2025年のさらなる展開が楽しみです。
東京大学工学研究科都市工学専攻を修了の後、公益財団法人九州経済調査協会や九州大学において長年、地域調査や産業政策・地域政策の立案に従事するとともに、数多くのまちづくりに参画している。
MikoSea Curator - Sakaguchi2024年11月のホットなニュースをわかりやすく解説します。