NFTの基本概念NFTとは?簡単にわかりやすく解説
NFTは現状ではバブリーで妖しいという印象がいまだ一般的です。けれども画期的な技術が発明され、社会への導入が始まる最初の段階では、自動車であれ携帯であれ、疑心暗鬼の対象とされ、変わり者、新しいもの好き、技術オタクが飛びつくものという偏見がつきまとうものです。
だからこそ、「NFTとは?」という問いと思考を冷静かつ多面的にひろげていくことが求められています。
伝えたいこと分散型の情報ブロックを繋ぎあわせ、改ざん不可能性、唯一無二性を数学的につくりあげる仕組みは、社会やビジネスのあり方、人びとの意識と行動を大きく変えていく。
そうした大きな変化を生かしていくために、各所に現れている予兆とその意味を読みとり、未来に向けた構想力を展開していくことが重要です。
定義と特性
NFT(Non-Fungible Token)は、デジタル環境で一意の価値を持つ情報資産です。複製・贋作の難しい情報の塊です。通貨やビットコインといった交換可能なアイテムとは異なり、交換(=代替)不可能なアイテムです。
各NFTには唯一無二の特徴があります。こうした特性を活かし、様々な情報や財・サービスをNFT化(NFTと紐付け)することで、独特の価値を与えることが可能となります。
ブロックチェーンで作成
NFTはブロックチェーン技術を用いて作成されます。
ブロックチェーンは、改ざんが困難な分散型の情報台帳であり、NFTの保有情報を透明かつ安全に記録します。これにより、NFTの保有の証明が可能になり、偽造のリスクを軽減します。
いろんな情報が書き込まれたNFTは「クルマの車検証」のようなものです。
車検証には車両番号、登録年、型式、スペック、使用者等、公的に真正性を保証された情報が書かれており、クルマの安心取引が可能となります。
デジタルとリアルの架橋
NFTはデジタルアートやゲームなどデジタル世界から始まりましたが、現在ではリアルワールド(リアルな商品・サービス)と紐付けられた電子証書としての利用が拡大しています。
実物のアート作品や熟成ウィスキーの証書としての活用や、リゾートホテルや高級旅館のクラブメンバーであることを示す会員証としての活用が進んでいます。
NFTは金融商品?
金商法上の集団投資スキーム持分の規律については、アメリカのHowey 基準という投資契約該当性判断の基準を参考にしたとされています(公益財団法人 日本証券経済研究所「有価証券の範囲」参照)。現在金商法上有価証券に該当しないNFTであっても、Howey基準に照らし合わせると投資契約に該当する(つまりは、金融商品に該当する可能性を含んでいる。)ものと考えられます。
プロジェクトの組成
NFTは特定の目的をもったプロジェクトの参加・共創メンバーを募り、資金調達するための手法としても広がりをみせています。
NFTがデジタル作品、工芸品、商品・サービスという「もの」だけでなく、「思い」をつなぎ「プロジェクト」を実現していく契機として可能性が膨らんでいます。
関係性の革命〜新たな掛け算の創発
NFTに体化されたブロックチェーン技術を活用することで、中央集権的な組織や企業を介さずに、プロジェクトとコミュニティの組成が可能となり、人と人がつながり、信頼関係を結ぶことができるようになりました。
またデジタルネットワークを活用し、これまで繋がりのなかった異人材・異分野の交流が生まれ、新たな価値創造と社会変革につながることが期待されます。
DAO型の新たな社会・経済の創成
NFTの基盤技術であるブロックチェーンは、改ざんが困難な分散型で透明性の高い情報台帳を実現し、これまでの中央集権的な情報と権力のシステムに代えて、DAOと言われる自律・分散・協働型の組織展開に貢献することが可能です。ブロックチェーンによって構成されたNFTの活用によって、地域活性化、協同組合、中小企業など社会を底辺で支える分野において新たな可能性をひらこうとしています。
まとめNFTの登場で「関係性の革命」がこれから始まる
NFTはブロックチェーン、メタバース、AI と一体となり、デジタルが現実社会の隅々に溶け込むかたちでWeb3という大きな変化をこれからつくっていくと考えます。まだ社会実装のほんの入口でしかありませんが、今後間違いなく、人、情報、もの、組織の相互の関係性を変え、ビジネスのありようを変え、人びとの意識と行動変容をもたらしていくと考えられます。
東京大学工学研究科都市工学専攻を修了の後、公益財団法人九州経済調査協会や九州大学において長年、地域調査や産業政策・地域政策の立案に従事するとともに、数多くのまちづくりに参画している。