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【DAO】DAO ─ 株式会社との違い ─

Web3の展開を支えるブロックチェーンやNFTの活用によって、会社をはじめとする組織のあり方が大きく変わろうとしています。それを象徴するのが DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)です。DAOと伝統的な株式会社は、組織論の観点から見ると、ガバナンス構造、意思決定プロセス、権限の分配、目的と戦略の設定など、多くの点で異なります。

伝えたいことDAOは株式会社と大きく異なる組織原理・組織文化をもっている

株式会社の“成長”でもたらされる巨大で中央集権的な組織に代わり、Web3においてはDAO(分散型自律組織)という新たな組織が次々と誕生し、社会のありようを大きく変えていきます。

従来の会社組織とDAOの違い
従来の会社組織とDAOの違い(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sokai/pdf/030_02_00.pdf)

DAOと株式会社の主な差異

ガバナンス構造

株式会社: 伝統的な株式会社は階層的なガバナンス構造を持ちます。経営陣(CEOや取締役)が主要な意思決定を行い、株主は年次総会での投票を通じて間接的に経営に影響を与えます。

DAO: DAOは分散型のガバナンスモデルを採用しています。すべての重要な意思決定は、トークンホルダーやコミュニティメンバーによる直接的な投票によって行われます。

意思決定プロセス

株式会社: 意思決定は通常、経営陣や取締役会によって行われ、従業員は実行に関与しますが、決定プロセスには直接参加しません。

DAO: 意思決定はより民主的で透明です。トークンホルダーやコミュニティメンバーが提案に投票し、多数決で決定が下されます。

権限の分配

株式会社: 権限は経営陣や役員に集中しています。株主は投資によって会社に影響を与えますが、日々の運営には関与しません。

DAO: 権限はより分散しており、コミュニティメンバーが重要な役割を果たします。各メンバーは提案や投票を通じて組織の方向性に影響を与えることができます。

目的と戦略の設定

株式会社: 目的と戦略は経営陣によって設定され、株主と従業員に伝えられます。

DAO: 目的と戦略はコミュニティによって共同で決定されます。オープンな議論と投票を通じて方向性が決まります。

DAOと株式会社の役割分担

DAOと株式会社は次のようなそれぞれの特徴や目的をもとに、相互の役割分担をしながら今後、よりよい社会に向けて共同歩調をとっていくことが期待されます。

株式会社は、明確な階層構造と責任分担を持ち、効率的な意思決定と実行が可能です。市場での競争、利益の最大化、株主価値の向上が主な目的です。

DAOは、コミュニティ主導のアプローチを取り、より民主的で透明な運営が特徴です。共有価値の創出、分散型の協力とイノベーションが重視されます。

まとめDAOは協力とイノベーションの新たな母胎

組織論の観点から見ると、DAOと株式会社は、組織の運営方法、意思決定のプロセス、権限の分配において大きく異なります。

株式会社はこれまで培われてきた伝統的なビジネスモデルに適しています。DAOは競争をベースとした組織から協力をベースとした組織へのシフトを目指すものです。DAOでは協力ベースの新たなイノベーション母胎としての役割が期待されます。

それぞれの組織モデルはプロジェクトの目的や趣旨、戦略に応じて選択されることが求められます。

MikoSea Curator - Sakaguchi
著者:MikoSea Curator - Sakaguchi

東京大学工学研究科都市工学専攻を修了の後、公益財団法人九州経済調査協会や九州大学において長年、地域調査や産業政策・地域政策の立案に従事するとともに、数多くのまちづくりに参画している。